設計

2019年7月20日 (土)

京都の放火事件に思う事。

 なんだか久しぶりのブログアップ。
建築関係者として、一昨日起きた京都アニメーションの放火事件が、どうしても心に引っかかります。
放火は、厳罰に処さないとアカンものです。
突然の不幸にて人生の終焉を迎えた多くの皆さまにたいし、ご冥福をお祈り申し上げます。
また、負傷者の皆さまにおかれましては、お見舞い申し上げます。
 昨今、様々に理不尽な事件が多々起こる状況の中で、建築関係者は何もできなく指を口にくわえる事しかできなかったのでしょうか?
防火地域・準防火地域以外の地域で、鉄筋コンクリート造3階建て、延べ約700㎡の事務所ビルとの事ですから確かに建築基準法上は、耐火建築物や準耐火建築物でなくても問題はなく、3階に居室があっても防火区画が出来ていなかったとしても違法ではないのでしょう。
普段、建築設計者は、建築基準法すらギリギリの設計をすることが多くありますか、それで良いのでしょうか?
しかし、延べ面積700㎡の建築物に客人も含めて約70名の人々が集まっていたのですから、結構な過密状態だったはずです。
 らせん階段は別として、せめて屋上まで続く階段部分が任意にでも防火区画(竪穴区画)されていれば、多分これほどの死傷者は無かった事でしょう。
建築設計者は、建築主(クライアント)の要望以上の計画案を様々に提案します。従って、計画案には義務以外の事も安全・安心の為にペンを走らせる事が多々あります。しかし、予算ありきの結果で余分なものは削除されることが多いです。この建築物がそうであったのかは、もちろん不明です。
建築主との二人三脚であるはずの設計活動が、そうでなくなる時に何時も脛に傷をもつ事になります。
とは言え、過剰とならない程度の安心・安全で機能的かつ素敵な設計を提案し続けて今後とも奮闘しければと思いました。

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2010年10月26日 (火)

地震にそなえてますか。

 10月25日午後9時42分(日本時間同午後11時42分)インドネシアのスマトラ島沖合で、マグニチュード(M)7・5の強い地震が起きたそうだ。当局によると40人が死亡し、380人が行方不明らしい。本年1月には、ハイチの大地震がありました。今はコレラによる死者は259人、入院患者は3342人に増えたそうです。先の阪神淡路大震災では、死者が6434人であります。あれから15年が過ぎ、一部では過去のものと考えている人がいるかも分かりませんが、明日にも大地震が起こってもおかしくない状況です。経済が宜しくない状況ではありますが、この様なときほど、事前の準備をする努力が必要だと考えます。

 9月1日「防災の日」と1月17日の年2回、非常持出袋の内容確認と、食料及び水の交換、そして住宅各部の点検。出来れば、耐震診断をされると良いと考えます。

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2010年5月19日 (水)

設計図には何が書いてあるの?

設計図書の隅々までずずずい~っと知ってください。

 よく「素人だから図面が判らないと」云うことを耳にすることが有りまが、ご自身の資産となる家(建築)に関わることですので、このようなことを平気で公言していて良いはずはないことは、ご理解いただけると思います。今回はこの設計図をテーマに書いてみたいと思います。

 まず最初に設計図に何が書いて有るのかを知らないといけません。設計図とは、正式には設計図書と云います。一般的には仕様書(図面では表現出来ない材料や品質及び工法等を指定するもの。カタログで言うスペックなど)と設計図のことを指して云います。これに工事の現場説明書、図面に対する質疑解答書及び現場指示書も加わることとなります。

 これらの設計図は、全て建築主の意向を基に建築家が頭の中でイメージしたものを、形として完成するために書き表したものです。そしてこの設計図を見ながら各専門工事の職方の皆さんに造ってもらうわけで、いわばその建物専用の注文書と云えますね。口答では指示し忘れてしまうことの無いように、またお互いに誤った解釈をしないために約束事に従ったシンボル等を決めて書き表しています。したがって素人の人には取っつきにくいものではありますが、決して理解出来ないものでは有りません。判らないところは、どんどん質問をして、理解を深めることをお薦めいたします。

 通常設計図は、大きく分けると仕上表・建築一般図・詳細図・構造図・設備図・外構図に区分できます。建築一般図とは、その建築の根本を示す図面のことです。建物の配置を示す配置図、各階の間取りを示す平面図、外観を表す立面図、高さ関係を示す断面図等があります。詳細図とは実際にいろいろな仕上材料等がどの様に取付くのかを示した図面のことで有り、平面図や断面図を詳しく表現した平面詳細図や矩計図、特殊な部分を表した部分詳細図、床・壁・天井を表現した床伏図・展開図・天井伏図、開口部にはめ込む建具の形状・サイズ等が書かれた建具表が有ります。
 構造図とは、建築の骨組みを表現した図面のことであり、基礎の形状を始め柱や梁のサイズや各部材がどの様に組み合わさるかを示す梁伏図や軸組図、各架構図等が有ります。
 設備図とは、給排水、衛生陶器、給湯やガス設備、換気扇や空気調和設備機器の配管や機器の位置等を示す機械設備図と電気の引き込みや屋内外の配線、照明器具、テレビや通信機器の設置に関わる配線配管等が表現された電気設備図が有ります。
 外構図とは、門塀、ガレージや庭園等を書き表した図面です。

以上の図面すべてが、その建物を完成するためにすべて必要な図面なのです。
一般的な延べ面積が30~40坪程度の住宅(100~140㎡)の場合で有っても、A2判(新聞紙一項のサイズ)で30~40枚前後の枚数の図面が必要になってきます。

これら全ての設計図書は、基本設計図等を基に製作される事が多いので、この段階で建築家への要望等をしっかりとお願いして、意見の交換を行い基本設計を練り上げていくことが、非常に大切なこととなります。逆に、してはならないことの代表は、判らないことをそのままにしておくことです。建築主である、あなたはどうぞ建築家に遠慮なく質問をして説明を受けて納得して頂きたいものです。
「後悔先に立たず」とは本当に良く云ったもので、設計時点での変更は、無償又は少額のコスト変更等で済むことが多いですが、いざ現場が始まっていたり、材料を発注した後では、多大なコストが掛かる場合が殆どであり良策とはいえないです。

 どうですか?設計図を読んでみようという気になって頂けたでしょうか?(^^)ゞ

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